太陽光発電飛行機ソーラー・インパルス

ソーラー・インパルスとは?

スイスでは「ソーラー・インパルス」という飛行機が制作されています。燃料を一切使わず、太陽光発電のみで空を翔る飛行機です。

両翼の長さは約63メートル。その翼に1万2000個ものソーラーパネルが設置されています。しかし重量は1600キロという、軽自動車約2台分の重量です。

NASAも「Helios」という太陽光電池を使った航空機を制作していましたが、これは昼間の太陽が昇っている間だけのものでした。それに対し、ソーラー・インパルスは昼間に蓄えた電力を夜間に使用し飛行を続ける"永久飛行"を目指しています。そして、昼夜を続けて飛ぶ、という点に関してはすでにクリアしているのです。

このプロジェクトは、2003年からスイスの技術者、冒険家らが中心となって動き出しました。そして、2009年にはプロトタイプの"HB-SIA"をテスト飛行しています。

プロジェクトの費用約86億円は、すべて民間企業からの基金でまかなっています。時計会社のオメガや、ドイツ銀行など約70社が出資しています。

ソーラー・インパルスの挑戦

2010年7月、ソーラー・インパルスは24時間飛行に挑戦しました。雲の上まで上昇すれば天候には左右されません。太陽の光を受けながら、飛行、蓄電を行い、夜に入るとともにバッテリーモードに切り替えます。そして、夜明けまで無事に飛行することができました。

そして2011年5月には、スイスのパイエルヌからベルギーのブリュッセルまで、13時間をかけて初の国際飛行を達成しました。他の飛行機も飛び交う、混雑する国際空港に着陸するというのは、ソーラー・インパルスの可能性をさらに広げるものでした。

ソーラー・インパルスの問題点

問題点として、機内の温度はマイナス20度に達することもあるのですが、電力は基本的に飛行のためにしか使えないため、体温保持には気をつけなければいけません。

また、長期の飛行を想定すると、仮眠のためのリクライニング機能も必要ですし、ゴミの処理をどうするか、といった問題も出てきます。

今後のソーラー・インパルス

しかし、燃料を使わず、太陽光発電のみで24時間飛行を可能にしたソーラー・インパルスは、世界的にも今後注目されていくと思います。またソーラー・インパルスがどんどん認知されるにつれ、出資企業は増え、性能も上がっていくでしょう。

プロジェクトの目標は、「世界一周」です。ぜひ実現して欲しいですね。