ドイツが抱える太陽光発電問題

かつて日本が大陸から漢字や仏教などの文化を取り入れてきたように、自国を発展させるためには諸外国の存在が大いに参考になります。

太陽光発電世界シェア率ナンバー1のドイツ

現在、世界で最も太陽光発電が進歩しているのは、ヨーロッパのドイツだと言われています。
ドイツでは2000年に、将来20年間にわたって太陽光発電による余剰電力を固定価格で買い取ることを保証する「再生可能エネルギー法」が導入され、太陽光発電システムの普及率が飛躍的に高まりました。2012年には世界ではじめて太陽光発電システムの最大出力が2000万キロワットを突破し、ドイツ全国の総発電量のおよそ5%を占めるほどの重要インフラとなりました。

ドイツが抱える太陽光発電問題

しかし近年では、太陽光発電先進国と称されるドイツでの太陽光発電計画に陰りが見えはじめています。
民間から企業に至るまであらゆる領域に太陽光発電設備が浸透したせいで、再エネ買取負担額が著しく増大する結果を招いてしまいました。日中にしか発電できない太陽光発電をバックアップするために火力発電へのコストも増大。右肩上がりで電気代が跳ね上がり、一般家庭への負担が深刻化しています。

ドイツ政府が選択した対策とは?

ドイツ政府は対策として、固定されていた電力の買い取り価格を引き下げる修正法案を可決させました。結局、当初の買い取り価格から30%近くも引き下げられる結果となり、将来的には買取そのものが中止になる可能性もあります。やむを得ぬ選択とはいえ、各方面から少なからず非難の声が上がっています。

日本はどうなる?

ドイツが抱えている太陽光発電政策の問題は、決して対岸の火事ではありません。そもそもドイツが本格的にクリーンエネルギーの普及を推進するようになったのは、脱原発政策がきっかけです。まさに、東日本大震災での放射能漏洩事故をきっかけに脱原発の運動が加速している日本そのものです。ドイツ政府の狼狽は、将来の日本を象徴しているといっても過言ではありません。

現在ドイツでは、電力需要家が自分の利用したい電力会社を自由に選べる電力取引自由化が進んでいます。民間の会社が安価な太陽光発電システムを活用して電力小売事業に参入するプロジェクトも発足しており、もしこれが実現すれば、電力買取制度に依存することなく消費者も企業もメリットを享受できるビジネスモデルが構築されることになります。

将来的には日本でも電力自由化は導入される見通しであり、ドイツの太陽光発電政策は非常に参考になります。日本とドイツでは日射量も社会情勢もまるで異なりますが、未来の日本の太陽光発電システムの普及をうらなう重要なモデルであることに変わりはありません。今後ともドイツの太陽光発電政策に注目です。