10年後の太陽光発電

太陽光発電システムを導入する際には、「10年」という期間を一つの目安として意識する必要があります。

なぜ10年後なのか

その一つは、「メーカー保証」です。太陽光発電システムは太陽電池モジュールやパワーコンディショナーなどの設備によって構成されていますが、これらはすべて消耗品であり、設置後年数が経過すると機能を低下させていきます。メーカーによって多少異なりますが、一般的な動作保証期間はおよそ10年間。メーカー保証期間後に故障した場合、機器の交換費用は全額自己負担しなければならないため、維持コストが増大します。

もう一つは、「売電価格」です。水力や風力に代表される再生可能エネルギーには発電電力の買取制度があり、太陽光発電も例外ではありません。平成29年度現在、一般家庭に広く普及している10kW未満の太陽光発電の買取価格は28円、もしくは30円/kWh(出力制御対応機器の設置義務有無による)。この価格は太陽光発電システム導入後10年間に渡って変化しないことが国によって保証されているため、安心して売電収入を得ることができます。

しかし、裏を返せば、10年後以降の売電価格には一切保証がないということでもあります。事実、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行された2012年当初、太陽光発電の買取価格は42円/kWhもありました。わずか4年間で10円/kWh近くも引き下げられたということであり、今後さらに買取価格が下落していくことは間違いありません。

今から太陽光発電を導入するのは不利?

それではこれから太陽光発電を導入するのは不利かと言うと、必ずしもそうとは言い切れません。そもそも国が定める固定買取価格は、保証期間内の初期費用回収を目安に計算されています。実際、高額で知られる太陽光発電システムは現在でもおよそ10年で元を取れます。買取価格が引き下げられるのは太陽光発電の社会的価値がなくなったからではなく、むしろ初期費用が安くなって導入しやすくなった状況に起因するのだということに留意する必要があります。

それに、10年後の世界では、現在とはまるで異なるエネルギー情勢が展開されていることは確実です。バッテリーに代表される蓄電池の技術が大幅に進歩し、自家発電が重要視されるようになることでしょう。太陽光発電導入家庭は、脱原発の影響で値上がりしていく電気代に振り回されることなく、安価で快適な電気エネルギー生活を営めるのです。

目先の売電収入を追いかけるのではなく、将来的なエネルギー事情を予測した投資を心がけることが大切です。