太陽光発電業界に迫る「2015年危機」とは?

2000年問題とは?

21世紀を間近に控えた90年代、「2000年問題」という懸案事項が世界中で問題視されていたことをご存知でしょうか?

当時のコンピュータは現在の機種ほど高性能ではなく、容量削減のために西暦データを下2桁で入力するのが一般的でした。(1985→85)そのため、西暦が2000年になるとコンピュータが2000年(00)を1900年と誤認識して、さまざまなコンピュータトラブルを引き起こす可能性がありました。

迅速な対策を講じた結果、幸いなことに社会秩序が破綻するほどの大きなトラブルは発生しませんでした。しかし現在でも、UNIX系のコンピュータが時刻を正確に扱えなくなる「2038年問題」などの潜在的な社会不安は多く残存しています。

太陽光発電業界でも近頃、「2015年危機」という問題が取りざたされています。

現在日本では100万以上もの世帯に太陽光発電システムが普及しており、世界でも上位に入るほどのソーラーエネルギー先進国として名を馳せています。しかし、これまで日本の太陽光発電ブームを支えてきた2つのメリットが2015年に消失してしまうため、多くの利用者が一斉に太陽光発電離れに走る可能性があるというのです。

2015年危機を引き起こす2つの要因

1. グリーン投資減税の即時一括償却制度

その1つは、「グリーン投資減税の即時一括償却制度」です。太陽光発電設備の取得価額を全額一年で償却できる特別措置を活用すれば、数百万円~数千万円もの巨額の節税メリットを享受することが可能となります。これがなくなってしまうと太陽光発電を導入する魅力が大幅に失せてしまうため、投資家の関心が薄れるのは確実です。

2. 固定価格買取制度のプレミア期間

もう1つは、「固定価格買取制度のプレミア期間」です。再生可能エネルギーの固定価格買取制度は2012年に導入された政策ですが、「施行後3年間は再生可能エネルギー電気供給者の利潤に特に配慮する」という基本方針が打ち出されていました。実際、当初は42円/kWhという買取価格に対して「高すぎるのではないか」という意見も挙がったほどでした。

それにもかかわらず、年々買取価格は引き下げられ、平成29年度は出力制御対応機器の設置義務有無によって、28円もしくは30円/kWh(住宅用)にまで低下しています。翌年以降は確実に今よりも安い価格で買い取られることが決まっています。太陽光発電の売電収入への期待も大幅に薄れてしまうことでしょう。

このように既存のメリットを最大限に活用したい方は、太陽光発電システムを早めに導入することを検討してみる必要があるのかもしれません。